最終更新日 2024年10月24日 by niefrancisf

情報化社会が進み働き方にも多様性が見られるようになった現代では、一昔前以上に労務トラブルによる悩みを抱えやすくなりました。
これは一言では言い表せないほどの多くの問題を含んでおり、現在では年間で150万件以上の相談が専門窓口や弁護士などに寄せられています。

 

いじめやハラスメント事案に関するもの

まず最も相談数の多い労務トラブルは、いじめやハラスメント事案に関するものです。
パワハラやセクハラは今や聞いたことのない人の方が少ないでしょうが、ここ数年の間で急速に被害の声が上がるようになりました。

もともと黙って耐えていた人も大勢おり、昔から潜在的に件数は多かったとも言われています。
ところが最近では携帯電話などで簡単に証拠を押さえられるようになった影響で、勇気を出して告発するケースが増えてきたのです。

そして誰かが声を上げると連鎖的に声が上がる、そのような風潮も相まって認知件数が右肩上がりになった背景も見過ごせません。
よって加害者が増えたという認識よりも、被害者が表立って発言しやすくなったという認識の方が正しいでしょう。
こう聞くと非常に良い傾向のように思えますが、まだまだ陰湿ないじめやハラスメント事案は日本の至るところに存在しています。

 

労務トラブルに該当すべきか微妙な範囲も黒にしてしまう社会

一方で所謂グレーゾーンとされる、労務トラブルに該当すべきか微妙な範囲も黒にしてしまう社会になりつつあります。
特にいじめやハラスメント事案は、された側が問題だと感じれば裁くべきと主張する人が多いです。
ですが毎度それを鵜呑みにすると虚偽の被害報告でさえ通ってしまうことがあり、第三者視点で関わる人たちはそこの線引きが非常に難しくなっています。

例えばここからここまでがいじめだと定めてしまえば、今度はその範囲に入らないやり方で新たないじめが起きるわけです。
だからこそ具体的な法律などを定めることはできず、その場その場で対処しなければなりません。
教育現場にいる生徒たちも含めて、今後も長い間多くの人を悩まされる問題となるでしょう。

 

解雇や残業代不払いに関するもの

次に多い労務トラブルは、解雇や残業代不払いに関するものです。
解雇には普通解雇や整理解雇、懲戒解雇といった種類がありますが、解雇をされた側がその理由に納得できず声を上げる事例が大半となっています。

本来労働者は、労働法の下で強く権利を保障されているものです。
そのため一方的に不当な理由で解雇をすることはできず、心当たりがないのに仕事を奪われたのであれば声を上げないと損と言えるでしょう。
ただし不当だと思っていたにも関わらず、実際には第三者の目から見ても正当な解雇だったというケースもかなり存在しています。

そもそもの自分の能力が不足していたり、会社の経営が厳しくて人員の整理の必要があったりと、やむを得ない話が先にあって解雇になったパターンも多いです。
自分が納得できるかどうかの観点だけで被害の声を上げる人も増えているので、寧ろ現代では雇う会社の方が気を遣う時代になっているのかもしれません。

 

残業代の不払いと異様な労働時間の強制はブラック企業の代名詞

逆に残業代の不払いは、十中八九会社側が悪いと結論付けられる傾向があります。
よくブラック企業などという言葉を聞きますが、まさに残業代の不払いと異様な労働時間の強制はブラック企業の代名詞です。
つまりは声を上げなければならない事案なのですが、被害を訴えると以降が働き辛くなるのではと心配して遠慮をする人がいます。

先述のいじめやハラスメント事案の告発もそうですが、長い目で見た際の自分の身を案じて我慢してます人が多いのは日本の社会的特徴なのでしょう。
とはいえ労務トラブルへの対策や理解は、本当に目覚しいほど進みつつあります。
何もしないことも勇気なのかもしれませんが、心当たりがあるなら相談くらいはするべきだと覚えておいてください。